いざ妊活を始めるとなった時、あなたならまず何を始めますか??
女性の皆さんは、まず基礎体温を測り、生理周期を把握し、排卵日を予測するのではないでしょうか。
さらに、健康を意識してバランスの良い食事を心がけたり、アルコールの摂取を控えたり、葉酸のサプリを飲み始める方も多いかと思います。
では、男性の皆さんはいかがでしょう・・?
精力のつく食べ物を食べるとか、滋養強壮ドリンクを飲むなど・・・。
勝負の日に、気合いを入れるために摂取することは多いのではないでしょうか。
精子を送り出す直前に体力や精力を万全にしよう!という意識はとても素晴らしいと思います。
でも精子はただ走れればいいわけではありません。
中身、いわゆる精子の質も大事になってくるのです。
では、精子の質ってどうやってあげるの・・・?
もちろんたくさんの方法があります。
今回はその中でも精子に必要な栄養素の摂取についてお伝えしていきます。
話が逸れてしまいますが、まずは 妊娠において男性の力がどれだけ重要か知っておきましょう。
自然妊娠の場合、精子は射精したのち、酸性である膣の中をアルカリ性の精液をまとい進んでいきます。
精子は酸性に弱いため、約99%の精子はこの段階で死滅してしまいます。
なので、一度の射精に含まれる精子の量は数億匹に対し、最終的に到達できるのは数十~数百匹のみです。
もちろん、射精された精液の中の精子数が少なければ、到達できる精子数は減っていきます。
1射精、1000万匹であったなら、数匹から数十匹が到達できるでしょう。
やはり精子数が多いに越したことはないでしょう。
次いで、子宮頚部、体部、底部を通過し、卵管の膨大部まで達し、卵子の殻(透明帯)を破り、受精となります。
子宮の長さは約7㎝、受精を待つ卵子が待機する卵管膨大部は約10㎝なので、最低でも17㎝ほど走らなければなりません。
人間の大きさで換算すると約6㎞ほどでしょうか・・・?
速さは、射精から卵管までがおよそ15分、卵管膨大部に達するまでは、およそ1時間かかるといわれています。
疲労がたまっているだとか、風邪をひいているだとかしたら走れなさそうな距離ですよね・・・
さらに受精するにはタイムリミットがあります。
排卵した卵子の寿命は24時間といわれており、排卵後6~8時間で受精可能な状態になります。
約16時間以内に精子と出会い受精しなければ、卵子は死んでしまうのです。
射精後の精子の寿命は平均的には2~3日(約72時間)で、強力な精子だと1週間生きることもあるんだとか・・・
卵子に比べて精子は数倍長生きすることが出来るのです。
ちなみに精子も受精可能運動ができるまでに約5~6時間かかります。
寿命に関しては、1個ずつの卵子と精子を計測したわけでもないので、あくまで一般的な寿命です。
人間も寿命に個体差があるように、卵子や精子にだってそれぞれ寿命が違います。
長い寿命で考えてしまうと、もしかしたら・・・という可能性を考えると短く見積もった方が賢明です。
そこで、卵子の寿命は10時間程度、精子の寿命は24時間と考え、タイミングをとった方が確率は上がります。
精子がないでは射精しても種なしで無意味ですし、精子数が少なければ膣を通過する時点で全滅ということです。
また、男性の精力や性欲にはテストステロンといわれる男性ホルモンの分泌が欠かせません。
男性の性欲は20代がピークという話は有名ですが、それはテストステロンの血中濃度が最も高くなっている時期と比例します。
テストステロンの分泌量は20代以降、年齢が上がるにつれて減少していくのです。
今回はそんな男性の男性ホルモンや精子、精液の生成に関わる栄養素についてお伝えしようと思います。
聞いたことのある方も多いかと思いますが、今回お伝えするのは亜鉛です。
結果からお伝えすると、亜鉛の摂取によってテストステロンの分泌や精子の形成が促進されるので、結果的に精力や性欲が増進されると考えられているのです。
逆に不足すれば、テストステロンの分泌減少による精子や精液、性欲減退の減少、前立腺肥大や勃起不全などのトラブルが起こる確率は高まるのです。
男性が不妊の原因になることは大いにあり得ます。
不妊の原因を男女で数字に表すと男性は48%(男性のみ24%、男女24%)を占めています。
男性も積極的に必要な栄養素を摂取しなくてはならないのですね。
細かく亜鉛についてお話します。
亜鉛は、私たちが生きていくために欠かせない必要不可欠なミネラルです。
"亜鉛"は英語で"Zinc"(元素記号は"Zn")といいます。
"Zinc"とは、溶鉱炉(かまどのようなもの)の中に亜鉛が沈殿する際にフォークの形に似ていたことから、ドイツ語でフォークの先という意味の"zinken"が由来になった説や、ペルシャ語で石という意味の"tinc"が由来になった説など、色々な説があります。
日本語で亜鉛といわれるようになったのは、亜鉛と鉛が似たような銀白色をした見た目であったからだそうです。
原子番号30の金属元素で必須ミネラルの一つです。
ミネラルは五大栄養素の一つとして知られていますが、亜鉛は中でも必要な16種類の必須ミネラルに含まれています。
私たちの身体を構成する約60種類の元素は、その内の約96%を酸素、炭素、水素、窒素の4種類で占めており、残りの4%にカルシウムやマグネシウム、鉄や亜鉛などの必須ミネラルが含まれます。
ちなみに代表的な必須ミネラルの体内での含有量は、カルシウムが約1㎏、カリウムが約200g、ナトリウムが約100g、マグネシウムが約25g、鉄が約3g、亜鉛は約2gです。
あんなに摂取しろ!と言われていた亜鉛は、まさかの約2g・・・驚くほど少ないのですが、体内で合成することができないため、生きる上で必ず摂取しなくてはならない栄養素なのです。
亜鉛の構造は、六方最密充填構造という結晶構造です。
結晶内ですべり面の数が限られていて、硬度が高く、脆性も高く、常温では塑性変形しにくい特徴をもちます。
塑性変形というのは、一定量の力を受けて変形した時に力を除いても形が元に戻らないもののことです。
これは粘土で例えると分かりやすいのですが、力を加えると形が変わり、手を放しても保たれるのと似た作用です。
この結晶構造は金属に多くみられます。
ちなみに必須ミネラルの中では、マグネシウムやコバルトも同じ構造です。
※コバルト…ビタミンB12の構成成分
私たちは紀元前から、亜鉛を様々な形に加工することで利用してきました。
現代では、銅と合金している真鍮として5円玉や金物に・・・。
鉄に亜鉛をメッキしたトタンとしてサビ防止で建物の雨に当たる部分に…
電気を通しやすい物質であることから電池などに使われています。
収斂作用を持つ亜鉛の酸化物には止血、鎮痛、殺菌、防腐などの効果もあり、医薬品や化粧品、日焼け止めにも使用されています。
収斂作用とはタンパク質変性させて組織や血管を収縮させる作用です。
亜鉛が栄養素として注目されるようになったのは、20世紀中頃を過ぎてからの話です。
大切なのはここからです。
亜鉛は、栄養素としてどのような働きを持つのでしょうか。
亜鉛は私たちの身体ではタンパク質と結合した状態で働きます。
約300種類以上もの酵素の構成成分となり、働きはさまざまで、人間が毎日活動するために必要な過程で利用されていきます。
具体的には、成長維持、中枢神経系、味覚、皮膚や骨の機能維持、代謝、タンパク質の合成、免疫の強化、ホルモンの分泌、DNAやRNAの合成など・・・
幅広く必要とされる何種類もの酵素たちのもとになっているのです。
私たち体内の亜鉛の含有量は全身で約2g、筋肉や骨に多く分布しています。
体内の約60%の亜鉛が筋肉中、約25%が骨に含まれます。
その他にも、血液、腎臓、肝臓、脳、毛髪などの新陳代謝が盛んな細胞に多く存在しているのですが、男性では精巣、前立腺にも含まれ、特に前立腺の亜鉛濃度は最も高いといわれています。
多く含まれているということは簡単にいってしまえば、その細胞や臓器にとってなくてはならない栄養素であり、不足していると充分にその細胞での働きが発揮できないということになります。
主に精巣ではテストステロン (男性ホルモン)を分泌し精子の形成が促進され、前立腺では精液の分泌を促進します。
もちろん亜鉛は脳にも多く含まれているので、脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンの分泌にも関与しています。
性腺刺激ホルモンは精巣や前立腺に刺激を与え、機能維持をしています。
脳、精巣や前立腺での亜鉛が不足すれば、テストステロンの分泌や精子、精液の減少、前立腺肥大や勃起不全など生殖機能のトラブルが発生するのです。
ちなみに、性腺刺激ホルモンは女性の体内では卵巣に刺激を与え、女性ホルモンの分泌の調整に関与しています。
女性でも亜鉛の不足によって、排卵異常などの生理不順の原因にもなるのです。
妊活中に亜鉛を積極的に摂取するべきだといわれるのは、生殖機能を維持する作用があるからでしょう。
他の働きも見ていきましょう。
亜鉛は全身のあらゆる細胞に関与しています。
働きと共にそれぞれ亜鉛が不足するとどうなるのでしょう。
◎細胞分裂を活発にする
細胞分裂は胎児~成長期は盛んに行われるので、母親のお腹の中~産後では、子供が大きくなるまで特に重要である
不足=妊婦では、胎児、乳児の発育遅延、低身長や低体重などのリスクが高まる
後述するタンパク質の合成やDNA、RNAの合成により細胞分裂が正常、活発に行われている
◎タンパク質の構造を維持する
亜鉛には4つの結合手があり、タンパク質やRNAを結び付け立体構造(ジンクフィンガーといわれる)を維持する
不足=タンパク質が分解されやすくなる
◎遺伝情報の転写の調節をする
遺伝子の約8%が調節される転写因子(ステロイドホルモンやビタミンD受容体、ビタミンA)の中にジンクフィンガーが存在する
体内で細胞分裂が活発な部分に多く存在する
不足=細胞分裂に異常が生じる
◎核酸の合成に関与する
DNA、RNAを活性化させる酵素(DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ)の構成成分になる
◎味覚機能を維持する
味覚は舌の粘膜に存在する約3000~10000個の味蕾細胞の中にある味細胞が味を受容し、その刺激を味覚神経へと伝達することで感じ取る
味細胞の新陳代謝は活発で約30日で常に新しい細胞へと生まれ替わる
味細胞の生まれ変わりには亜鉛が必要である
不足=味覚障害を引き起こす
大人になると味蕾が減って味覚が低下するから子供の時に苦手だったものが食べれるようになる、というのは必ずしもそうではない
生まれ変わる際に味細胞に多く含まれる亜鉛が不足してしまうことで感覚が減退する
◎抗酸化作用を持つ
活性酸素(普段はウィルスや細菌を攻撃している)が増加しすぎないように、除去する役割を持つSOD(活性酸素除去酵素)の構成成分である
不足=SODが不足すると活性酸素の増加によって正常な細胞まで傷つけてしまう
◎生殖機能の維持する
亜鉛は前立腺、精巣に多く含まれていて、精液や精子、男性ホルモンの生成に関与する
脳から精巣、卵巣へ分泌される性腺刺激ホルモンにも関与する
不足=性腺刺激ホルモン、男性ホルモンの分泌がうまくいかず、精液や精子の量が減少する。女性では生理不順の原因になる
◎アルコール代謝を助ける
アルコールを分解する際に必要なアルコール脱水素酵素(アルコールデヒドロゲナーゼ)の構成成分である
不足=アルコールの分解が行えなくなり、代謝に影響が出る
◎免疫細胞を活性化させる
主に外敵が侵入してきた時に活躍するT細胞などを活性させる
粘膜保護の役割を持つビタミンAを体内にとどめる働きも持つため、のど、鼻水、鼻づまりなどの症状を緩和させる
不足
風邪や感染症、自己免疫疾患などのリスクが高くなる
傷や病気の回復に時間がかかる
胃腸の免疫機能も低下し下痢が見られることもある
◎血糖値、コレステロール値を維持する
亜鉛はインスリンを構成する際に必要な栄要素で、血糖値の維持に関与する
血糖値を上げるホルモン(グルカゴン、コルチゾール、成長ホルモン、カテコールアミン)が複数あるのに対し、血糖値を下げるホルモンはインスリンのみである
総コレステロールやLDLコレステロールの上昇抑制をするので血圧降下作用を持つ
不足=インスリンが不足し血糖値の維持が難しくなる
糖尿病や高血圧症などの生活習慣病のリスクが高まる
(糖尿病患者は健常者に比べ亜鉛は低値である)
◎髪の毛、肌の健康を維持する
代謝を助ける酵素となる為、頭皮や毛髪、肌のターンオーバーをサポートする
抜け毛や肌荒れを予防する
不足…抜け毛や白髪、シミの増加、毛髪細胞や肌細胞が衰退する
◎精神安定、うつ状態を緩和する
亜鉛は神経伝達物質の生成に必要
神経伝達物質が正常に作られ働くことで感情のコントロール、脳の機能を高まることで記憶力を維持する
このように亜鉛はたくさんの細胞や器官で活躍する栄養素なのです。
亜鉛が身体にどれだけ必要な栄養素かはお分かりいただけたでしょう。
次に、亜鉛はどのように身体に吸収されていくのでしょうか。
食べ物に含まれる亜鉛は、アミノ酸、リン酸、有機酸などと結合して、小腸(十二指腸、空腸)で吸収されます。
小腸の腸管での吸収経路は2つあります。
1つ目は受動拡散といわれるものです。
拡散は濃度の高い方から低い方へ輸送されていくもので、エネルギーは使用しません。
2つ目は運搬体による能動輸送です。
大半の亜鉛の吸収経路は運搬体を利用したもので、腸管内の亜鉛濃度が低い場合でエネルギーを使用して吸収します。
小腸へ吸収された亜鉛は粘膜で腸タンパクと結合し血液中へ送られていき、血液内では3分の1がアルブミンと弱く結合、3分の1がグロブリンと強く結合して、肝臓を始め様々な組織に送られます。
吸収率は約20~70%でとても幅広く、摂取量を増やせば吸収率は減少し、摂取量を減らせば吸収率は上昇します。
腸管で吸収されなかった残りの亜鉛は、亜鉛を含んでいる腸管粘液の脱落、膵臓から腸管への膵液の分泌で糞便中へ移行され排泄します。
亜鉛は尿中には摂取量の増減に関わらずほぼ一定量が排泄され、糞便中と比べると約10分の1以下です。
これ以外にも皮膚や毛髪、汗や血液、精液を通しても排泄されていきます。
亜鉛不足で起こる症状は先ほどたくさん上げられましたが、過剰症は存在するのでしょうか?
亜鉛は水溶性の物質(過剰に摂取しても尿として排泄されやすい)ですが、ビタミンCなどの水溶性ビタミンに比べれば吸収率はいい方です。
しかし、過剰症は一般的な食事のみではあまり考えられません。
亜鉛だけを考えて摂取するなら可能かもしれませんが、他に含まれている栄養素のバランスも食事には大事ですからね。
亜鉛の過剰症をあげてみましょう。
〇急性亜鉛中毒
…胃の不快感、吐き気、嘔吐、めまいなど…
1日150㎎以上の亜鉛摂取で吐き気を起こす可能性がある
〇慢性亜鉛中毒
…胃の不快感、吐き気、嘔吐、免疫力の低下など…
1日100㎎以上の亜鉛摂取で免疫力低下を起こす可能性がある
〇鉄欠乏症(亜鉛の過剰摂取による鉄吸収の阻害)
…めまい、息切れ、疲労感、脱毛、筋力低下、集中力低下、神経症状など…
〇銅欠乏症(亜鉛の過剰摂取による銅吸収の阻害)
…貧血、髪の毛や肌の脱色、骨の劣化、免疫力低下、皮下出血、疲労感、血管損傷など…
不足するのと同じくらいたくさんの細胞で影響が出ます。
体内での亜鉛が不足にも過剰にもならないためには、どのくらいの量を摂取するのが理想なのでしょうか…?
亜鉛は男性も女性も年齢を重ねるとともに摂取推奨量が増加します。
胎児~生後6か月:1日2㎎
6~7歳:1日5㎎
成人男子:1日10㎎ (15~17歳でピークに到達)
成人女子:1日8㎎ (12~14歳でピークに到達)
70歳以上:男性は1日9㎎、女性は1日7㎎
亜鉛は胎児が成長する際の細胞分裂や産後の成長にも必要な栄養素なので、妊婦さんや授乳中の方の摂取推奨量はプラス2~3㎎程になります。
日本では亜鉛摂取の1日の上限量は男性で40~45㎎、女性では35㎎とされています。
かの有名なAV男優のしみけんさんは毎日70~90㎎の亜鉛を摂取しているんだとか…ちなみに2020年で41歳の現役です。
ここまで摂取して過剰症などの影響が出ないのか??
これは、排泄される亜鉛の量が違うので大丈夫といったところでしょうか。
しみけんさんは、毎日2回必ず射精をしているそう。
もちろんお仕事があればさらに増えるのでしょう・・・。
調べていると1日で4現場あるなんて記事も読みました。驚愕・・・。
亜鉛の吸収率は摂取量で変化するのですが、平均では約30%なので、単純計算すると90㎎の亜鉛を摂取しても、吸収できる量が27㎎ということになります。
1回の射精で失われる亜鉛は約7㎎といわれているので、3回射精すればマイナス21㎎で、排出された後では6㎎が体内に残ります。
残された亜鉛は、様々な細胞で働かなくてはなりません。
身体に必要な分を吸収するためには、排出後まで考えて摂取しなければならないのです。
では、具体的にどのくらい摂取すればよいのか?
食事だけで摂取しきるのはなかなか厳しいので、やはりサプリメントが効率良いでしょう。
おすすめなのは、亜鉛が50㎎程度含まれているものです。
私は女性ですが、亜鉛が50㎎含まれたサプリを毎日飲んでいます。
同時に亜鉛が多く含まれる肉や魚などのタンパク質もたくさん食べています。
私はデスクワークというよりは立ち仕事で身体を動かし汗をかきます。
汗にも亜鉛は多く含まれるので、亜鉛の摂取は毎日欠かせないのです。
男性は特にですが、女性でも亜鉛の摂取量が足りていないことは多くあります。
さらに妊娠中や授乳中の女性は、赤ちゃんに亜鉛の栄養素が必要なこともあって不足しがちです。
母親からの栄養は赤ちゃんに優先されるので、抜け毛、肌荒れなど感じたことがあれば亜鉛不足も原因の一つでしょう。
ちなみに影響が出るのは母親だけではありません。
母親の亜鉛が不足し始めると赤ちゃんの成長障害や免疫力低下、胃腸機能障害などの症状を引き起こしかねません。
大人だけでなく出生直後から成長期の子どもにも欠かせないのです。
日本では珍しいですが、海外では亜鉛不足による低身長、低体重である子供も多くいます。
亜鉛は微量ミネラル(鉄、銅、クロム、セレンなど…)の中で最も不足しやすい栄養素です。
そんなに簡単には過剰症にはなりえないですし、不足すれば一大事です。
皆さん、積極的に摂取しましょう。
では、亜鉛が多く含まれる食材をご紹介します!
ご覧の通り、亜鉛は魚介類や肉類など動物性のたんぱく質に多く含まれています。
牡蠣をはじめとしたタニシなどの貝類は金属を溜め込む性質があるため、亜鉛や鉄、マグネシウムなどさまざまなミネラルを多く含んでいます。
また同じ食材でも調理方法によっては亜鉛の含有量に差が出ます。
例えば牡蠣や豚レバーなどを燻製すれば、栄養素を凝縮してくれるため、亜鉛の濃度は濃くなります。
ぜひ、調理する際は工夫してみてください。
ここで注意点が二つ…。
一つ目の注意点は、塩分!!
日本人は、外国に比べるとただでさえ塩分過多だといわれています。
塩分の過剰摂取は、高血圧症や心臓病、脳卒中の原因になることが分かっており、アメリカでは心血管疾患を予防する際の塩分推奨量は1日3.8g~6.0gとなっています。
日本人の塩分摂取量は平均で1日当たり、男性で約11.1g、女性で約9.4gといわれており、これは世界的に見て非常に多い数字です。
最近では、日本でも様々な機関によって塩分摂取量の目標値が掲げられています。
・厚生労働省の1日あたりの塩分摂取量の目標値 男性…8g、女性…7g
・高血圧学会の1日あたりの塩分摂取量の推奨値 6g未満
・腎臓病患者の塩分摂取量の目安値 3gから6gほど
・人工透析患者の塩分摂取量の目安値 6g
・WHO世界保健機関の1日あたりの塩分摂取量の目標値 5g未満
WHOの基準値は日本の平均摂取量の半分以下と日本人にとってはとても厳しい数字です。
しかしそれくらい塩分を控えないということですね…。
話が少し逸れてしまいましたが、亜鉛を多く含む魚介類、肉類の中には、100g当たりの塩分の含有量が多いものもあるので気をつけましょう。
<100gあたりの塩分の含有量>
・ビーフジャーキー 4.8g
・たらこ 4.6g
・煮干し 4.3g
・くさや 4.1g
・干しエビ 3.8g
・からすみ 3.6g
・するめ 2.3g
ビーフジャーキーもたらこも、だれでも美味しく手を伸ばしやすい食材ですよね。
せっかく亜鉛の摂取量を満たしていても、塩分過多で病気になっては元も子もありません。
食べすぎには注意をしましょうと言いたいところですが、塩分の種類に注意しましょう。
天然の海塩、岩塩、魚介類などにもともと含まれる塩分に関しては害は全くありません。
上記に書いた食材は保存食ですので、保存の効く塩で防腐しています。
この塩が精製塩だと身体に悪く、天然塩なら身体に良いのです。
よって牡蠣などを食べる際には、調理に天然塩を使えば、塩分過多は存在せず、むしろ私たちに必要な食材になるのです。
天然塩にはたくさんのミネラルが含まれますよ。
一概に、塩分を敵視しないようにしましょう。
二つ目は穀類や大豆製品を含む豆類!
亜鉛は小麦胚芽やパン酵母に多く含まれていますが、小麦製品は要注意!!!
これに関しては毎度のことになってしまいますが、皆さんの耳にタコができるほど伝えたいお話…
まず、小麦を摂取することでのメリットはありません。
全くないと言ったらそれは嘘になるのですが、少なくともメリットがデメリットを上回ることはありません。
小麦はスーパー糖質といわれ砂糖よりも糖度が高く、身体の糖化の原因物質として文句なしの食材です。
ちなみに糖質摂取による糖化とは、細胞の老化に直結するもので、肌で言うならシミやシワのごわつき、血液ならドロドロで血管を流れづらい状態、骨なら黄ばみ…など考えれば考えるほど恐ろしい状態です。
もちろん糖質が卵子に与える悪影響も少なくありません。
また、小麦などの穀類同様に豆類も植物性のタンパク質です。
タンパク質といわれると積極的に摂取したほうがよさそうですが、動物性のタンパク質と違い、植物性にはフィチン酸という物質が含まれています。
フィチン酸は、亜鉛やその他のミネラルの吸収率を下げてしまう働きがあるので、亜鉛の効果を十分に発揮させるために摂取は避けたいのです。
さらに、小麦製品と同じで何度もお伝えしてきましたが、大豆製品は妊活中とても相性が悪い食材です。
大豆製品に含まれるイソフラボンは女性ホルモンに類似しているため、摂取すると私たちの脳を撹乱させます。
いわゆる"内分泌かく乱物質"のことです。
女性ホルモンのバランスを乱す結果に繋がるので、イソフラボンの積極的な摂取は確実に避けましょう。
おいしい小麦製品や大豆製品はたくさんですが、デメリットを思い浮かべて、グッとこらえることをおすすめします…。
亜鉛の吸収を妨げる物質は他にも存在します。
・フィチン酸
…ナッツや豆腐などの豆類、大豆製品、小麦などの穀類に含まれる
フィチン酸が亜鉛と結合して吸収を阻害する
ベジタリアンやビーガンはフィチン酸の摂取が過剰である
・ポリリン酸
…インスタント、ファストフード、スナック菓子などに含まれる食品添加物
ポリリン酸が亜鉛と結合して吸収を阻害する
・アルコール
…アルコールを分解する際に亜鉛が消費されるので摂取すればするほど消費される
・食物繊維
…わかめや海藻類などに含まれる
食物繊維はミネラル(亜鉛、鉄、銅など)を吸着し吸収せずに体外へ排出される
・タンニン
…コーヒーや紅茶、抹茶などに含まれる
タンニンが亜鉛や鉄分と結びやすく吸着し吸収せずに体外へ排出される
・シュウ酸
…ほうれん草やたけのこ、チョコレートやココアなどに含まれる
シュウ酸が亜鉛と結合し吸収を阻害する
(シュウ酸の摂取過剰は尿管結石の原因にもなる)
・カルシウム
過剰摂取で亜鉛と結合し吸収を阻害する
吸収を阻害する物質もあれば、吸収効率を上げる物質もあります。
それは動物性のタンパク質やビタミンC、ビタミンAです。
これらの栄養素は亜鉛の効果を発揮しやすくする組み合わせなので、一緒に摂取することをおすすめします。
ちなみに、タンパク質、ビタミンCの摂取は、筋トレをして筋肉を効率よく増やしたい時や回復を早めることにも適しています。
ビタミンCは、骨や靭帯、腱を構成するコラーゲンの生成を助けるので、妊活中に限らず身体を鍛えたい人はぜひこの組み合わせで摂取していただきたいものです。
そして、ビタミンAは亜鉛の吸収率を高め、亜鉛はビタミンAの働きを助けることから相乗効果が望めます。
抗酸化作用をスムーズに働くようにもするので、筋組織の修復に持って来いです。
摂取する際は意識してみてください。
今回お伝えしたのは、亜鉛の栄養素がどれだけ身体に必要なのか…
特に男性にとっての亜鉛がどれだけ大切か!!です。
妊活を始める方は是非積極的に摂取していきましょう。
何かございましたらご質問ください。
銀のすず